二歳九か月で目撃した、世界が炎上する光景が平松の原風景。関東大震災の時に彷徨った焦土の地獄絵は1966年のニューヨークの個展で再現された。
しかしそれを知らないニューヨークタイムズの著名美術評論家は美の世界と絶賛した。平松は壮絶な体験を経てこの世は神のつかさどる生死という浄土の世界だと悟りそれを描くことだけを仕事とした。
絵画とは目的ではなく仏教、禅と同様に神的世界を表す手段であり、誰も真似できない彼女の発明した技法は、その世界を描くために必要とされた。
今回代表作を始め大作「ピラミッド神殿」など当館未発表の作品など一部展示を変えながら3回開催する。