2020 年 3月19日~4月5日
休館 月・火・水曜日 Open13:00-17:30
入館料 一般 500円
オープニングパーティー 3月21日 (土)17:00~18:30
線で紡ぐ生命の形象
達 和子の作品から、イメージの基となった人体の動きや植物の育つ様の痕跡を探り出すのは、それ程困難ではない。
実際に造形化された人の体や植物は、幾つもの作品に見い出せる。
ただ人体や植物の形を追求するのが目的でない事は明白で、そこに宿る生命感の表出が重要なのである。
多様な描画材を用いて、板や紙に自ら内奥に胚胎する情感や思念をストロークを生かした線で描き出す、しなやかさと強勒さを併せ持つ線は作者の思いを反映、あるいはそれと連動して有機的な形を創リ出す。
この自在な描線は予測しない形を生み出し、不確実さを孕む画面が思わぬ展開を見せ、増殖する形象は連続し振幅し、時に膨張する。
この形象と形象とが互いの関係から"間"を生じた時、画面は一気に生命感に溢れるのである。
達の創出する画面は様々に変容し、工ロチックでありまたユーモラスでもあるが、一時として停滞する事なく常に活発で新鮮である。
それは自身が存在する現在を見詰め、感じた思いをダイレクトに線描するからであろう。変化し続ける作品は、彼女の内的世界の視覚化であり、それはWarmth
of life(生命の温もり)の創造の軌跡に他ならないのである。
美術評論家 清 水 康 友