- 光野(ルウ)さんの光の世界 宇フォーラム美術館 館 長 平 松 朝 彦
「ルウさんの展覧会のフライヤーを見たとき懸念を覚えた。衣装展とあったからだ。直前に紹介された読売新聞の記事でも忌野清志郎の衣装デザイナーとしての扱い。
しかし、実際の展示と行われた二つのショーは、衣装展どころかそれをはるかに超えた創造の世界であった。
そして、それは彼女の単なる世界観だけではなく、彼女の多くのフレンズとともになしえた驚きのパフォーマンスだった。
まず、オープニングパーティーの「妖精たちの森」だが会場に運び込まれた植栽は半端ではなかった。美術館の入口のドアを開けると、のれんのように頭上から蔦が垂れている。
聞けばジャスミンさんの自宅の蔦をすべてとって運んだという。さらに受付周りにも野性的な緑。妖精たちの森だ。
会場の床には苔の円形スポットが数か所配置され森を歩いているよう。奥の室内には前回ギリシャ神殿に使われた高さ3mのスチールフレームにも蔦が。
地球の緑は万物の命の象徴。壁にはカラフルな様々のコスチュームが展示されている。ルウさんの作る服は普通の服ではなく、あえていえば舞台衣装。
しかし、普通の人が着れば主役に変身できる魔法の服。現場では「どう着るの? 」という声が。
オープニングパーティーではこれらをまとった人々のファッションショー。しかし、そのダンス、音、光の演出は専門家によるもので、光、音楽、語り、それぞれが一体となったイベントである。それはルウさんの空想の舞台に立つ、まさに役者、アクターとなることなのだ。
最終日のクロージングパーティーはカナダの作家でありデザイナーのDella Burfordさんの「マジカル・レインボー」にもとづく創作劇。ルウさんによる説明文は、次の通り
「昔あるところに虹の翼と呼ばれる不思議な子供がいました。鷲の頭と人間の足をした虹色に輝くつばさを持つ魔法を使える子供でした。
ある時、汚れた水を飲んでしまった虹の翼がそれまで持っていた素晴らしい色と魔法の力を失ってしまうところから物語は始まる。世界がひっくりかえっちゃったみたいに衝撃をうけた蝶の翼が再び勇気をふるいたたせ、賢者の知恵のもと四つの方向へ旅をし、自然の神様たちに会うごとに地球の秘密の言葉を授かり愛と平和のため地球の再生のために生きる覚悟をしてゆく物語。今この星に生きるすべての人々のLove Song! すべての命はつながっている。」(By Ruu Ruu)
ネット情報によると原作者はカナダ生まれで、彼女の神聖空想家アートとは、夢、インド、古代ケルト知識、シャーマニズムによるものだという。
この劇は、彼女の絵本「The magical earth secrets」の翻訳をした浅葉和子さんの依頼のもと、ルウさんが舞台化した二作目のオペラだという。今回、フライヤーのような衣装展ではなくオペラであり音楽と演劇による舞台劇。音楽は録音済みで、花ヲさんによるもの。しばし彼と音楽談義。
「ひかりあそび」なる舞台照明のスタッフ、その他多くのプロが関わったイベント。こんなイベントがライブで見られるのはニューヨークかベルリン位だろう。
そして最後は、ルウさんの独特の世界観。真理・覚醒というスピリチュアルな領域。
衣装つくり、それは地味な針と糸だけのニードルワークだが衣装は命を吹き込まれる。それはまさにアートという魔法といえるのかもしれない。
そして今回の協力、参加者の多くは国立在住。毎年行われる国立パレードは地元のイベントとして定着しつつある。国立はまさに芸術文化の町だ。
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- ポスター
- 2018 / 5月11日(金)~5月20日(日)
さとり アイミ
アリス ナディア
リッキー
5.11 オープニングショー 光りのショウ 「妖精たちの森」
構想・衣装 光野ルミコ
音楽・語り Fairy floss & Mui kono
照明 伊地知あらた& ひかりあそび
モデル 空豆、坪田直子、アイハ、地子、遥奈、まさ、ナディア、よしえ
5.20 クロージングショー 「マジカル・レインボー」
構想・衣装 光野ルミコ
音楽・演奏 花ヲ
照明 伊地知あらた& ひかりあそび
キャスト (虹の翼) 百華、(賢者) キャンディ浅葉、(弟)子 兵庫・敦子、
(大地の種) リッキー、(聖なる水) さとり・アイミ、
(太陽の光) 宇賀神サトル、(花の精) ともお、(愛の風) ゆずか、
(星の鳥) 清水友美、(水晶の願い) ナディア、(大天使) ミーナ、
(春) ユウ、(夏) ミキ、(秋)アリス、(冬) まさ
宇賀神 サトル
キャンディー浅葉
清水 友美
ももか
「マジカル・レインボウより」
会 場 の 様 子
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