染川英輔「平和と祈りの旅」の記録

      

 染川 英輔「平和と祈りの旅」展

                     宇フォーラム美術館 20周年記念

  •      染川 英輔「平和と祈りの旅  宇フォーラム美術館 館長 平松 朝彦
  •  今回、観蔵院曼荼羅美術館様のご協力を賜り「両部曼荼羅図」(計約5m)、三寶寺蔵の「新六道図」(約6.6m)を始め、シルクロードのスケッチなど作者の多岐にわたる作品を特別に展示した。
     作者は20代でヨーロッパ、30代でギリシャからガンダーラ地方、40代で中国、シルクロードを旅して多くの仏像に出会う。こうした壮大な世界を知った経験により宗教の世界に目覚めて仏画の世界に入り、両部曼荼羅の大作を描くと同時に、世界の平和を祈念するために現代社会をとらえた仏画の大作「新六道図」を完成させた。
     両部曼荼羅は二枚で18年、新・六道図は7年制作に費やしている。前者は下書きのために数名の専門家と研究会をつくり数年を費やして貴重な仏画の著作「金剛界曼荼羅(大法輪閣)」として上梓された。
     作者は絵の制作に集中するため電話を持たず作者との連絡手段は何十年も最近まで郵便に限られていた。そのような自己犠牲的なストイックな生活と完全主義および桁外れの集中力により生まれた緻密な絵画は、圧倒的であり見るものに様々の想いをいだかせる。 
     新六道図には作者の哲学が集約されている。新六道図には世界の偉人、賢者、宗教家たちが集まるが、そもそも世界の数多くの宗教を一つにまとめて絵画化する試みは画期的な発想だ。
     振り返ると若い時のヨーロッパ、中近東、中国の旅は宗教を巡る旅でその後の絵画に世界的視野を持たせた。作者はカメラを持たず当地でデッサンを描いたがそれはその光景を目に焼き付けることであった。
     新六道図は世界でおきた様々の戦争を告発するが、戦後まもない子供の頃の原爆投下の広島を歩いた作者の実体験もあったと思われる。平和の祈りと世界の人々への慈悲と慈愛のまなざしはあらためて仏教を再認識させる。
     仏画をはじめ宗教絵画はそもそも神に奉じるためのものである。宗教的なものは本来宗教施設で拝観すべきだが、今回の当館の展示はおおむね好評だった。美術館が、作品を美術品としての価値を認識させる場だからだ。そしてさらに偶然であるが奉納というべき音楽のイベントが二つ行われた。桐朋学園音大生によるピアノとバイオリンのクラシック音楽演奏(そのうち一曲は「長崎の鐘」)とディジュリドゥ奏者ノブさんの即興演奏。今回、急遽決定した展覧会のすべては偶然のようで必然だったのかもしれない。


      
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  • 2019 / 3月1日(金)~21日(木)
        






















 














 ミニコンサート

天使墜つⅠ(s.45、F50 76×79)

デッサン

新・六道図 詳細部分

妙見曼荼羅図(屏風)(田無山総持寺蔵、実物大ピエゾグラフ) (h9年.屏風3組)

虹・月の図(屏風) (虹) (s.42六曲二隻屏風) (月) (s.45六曲二隻屏風)

原爆投下

敦煌の母(s63、54×40)

廃城(s63、54×40)

竪琴を奏でるアポロン(s50、25×18)

回教墓地の落日(アクス) (s63、54×40)

聖夜(アッシジ) (s63、40×31)

カシュカワルの市場(s63、54×40)

9.11ツインタワー崩落

閻魔大王

長崎浦上天主堂

普賢菩薩図(掛軸)(s.62 88×56)

如意輪観世音菩薩図(屏風)(s.57 135×78)

ディジュリドゥ KNOB氏

ピアノ・バイオリンの演奏(豊田さんと瀬川さん)

作   品

会 場 の 様 子

※ 展覧会の様子がパノラマでご覧になれます