- 当館は現代美術館であるが、巨大な両界曼荼羅などを展示し、壮観なインスタレーションになった。
今回の展示で個人的に一番見ていただきたいのが新・六道図。仏教を一言でいえば「慈悲」。この世は悪と善があり、往々にして悪が勝ち善(正義)は負ける。しかしあの世にいけば悪人はこの図のように地獄に墜ちる、という教えが地獄図である。
幅トータル6.6mの巨大な屏風絵画に精緻に描かれたという地獄の様相。ヒエロニムス · ボスの奇怪な絵のようでもある。これは絵画に興味がない人でも面白い、と思うだろう。
「原爆投下」「9.11のツインタワー」「アウシュビッツ」などの近代、現代的事件を取り上げ現代という時代が作った地獄図である。
- 作者は東京藝術大学の日本画科を卒業した後に、20代でヨーロッパ、30代でギリシャからガンダーラ地方、40代で中国からシルクロードでガンダーラ地方を旅して、中東、西アジアなど世界の人々と交友するとともに多くの仏像に出会う。
こうした経験により仏教の世界に目覚めて仏画の世界に入り、18年をかけて両部曼荼羅の大作を描くと同時に、世界の平和を祈念するために現代社会をとらえた仏画の大作「新六道図」を完成させた。
世界でおきた様々の戦争を告発する原点は自らの体験と世界の人々への慈悲と慈愛のまなざしだ。
今回、観蔵院曼荼羅美術館様のご協力を賜り「両部曼荼羅図*」(約5m)、三寶寺蔵の「新六道図*」(約6.6m)を始め、シルクロードのスケッチなど作者の多岐にわたる作品を特別に展示する。
(*門外不出のため実物大ピエゾグラフ)
- 期 間 2019年 3月1日(金)~ 3月21日(木)
- 開館時間 午前 11 時~午後 5 時 ※休館日 月火曜日
- 入場料 一般500円 会員無料
- ※ 16日(土)15:00より、バイオリンとピアノによるクラシックミニコンサートを開催します。ぜひおこしください。